■後悔■
やっぱり私には幸せなんて似合わなかった。
願ってばっかり、現実逃避で。
近くにあると慣れてしまったら、全て壊してしまったのは自分自身。
遠いよ、全部、全部。
目に見えるのに。
手を伸ばせば届く距離なのに。
触れられなくって、零れてしまった。
消えてしまった。
消してしまった。
無くしたものは大きすぎたよ。
貰ったものが大切すぎたから。
忘れきれない思い出が多すぎるよ。
視界の全てが愛しかったから。
踏み外したら一緒に落ちてほしくて。
口約束は果たされないまま、嘘を吐いてごめんなさい。
どうか貴方に幸せが訪れますよう。
幸あれ。
2006 2 無伊
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■よわむし■
わからない、何もかも。
貴方の事、全て全部。
私は貴方の何だったの?
聞ければいいんだけど、いつもこの口は縫い付けられてしまう。
『弱虫』。
罵るのは自分自身と貴方。
地に足が着かないでフラフラ。
空に手が届かないでグラグラ。
揺れて狭間で、泣いて隙間で。
三日月に突かれて死んでしまえればいいのに。
そうしたら太陽のように熱い抱擁で灰にしてください。
薔薇で綺麗に飾って、茨でかたく鍵をかけて。
何もないところまで沈めてね。
本当に愛してくれてるなら。
何もわからないからお願いだけ。
お願いだけ。
2006 2 無伊
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■独占欲■
誰の背中を追っているの?
『愛しいあの人』はだぁれ?
沢山走り回って何を探してる?
あとどのくらい立ち尽くせばいいの?
ねぇ、教えて。
この目じゃ何も見えないの。
この頭じゃ何も考えられないの。
この体じゃ何処へも行けないの。
貴方がいなければ。
お願い、行かないで。
お願い、ずっと傍にいて。
お願い、私以外の人を好きにならないで。
お願い、お願い。
私だけの貴方でいて。
貴方だけの私でいたいの。
だから、お願い。
私が愛するのはこの世界で貴方だけがいいの。
他には何も望まないから、私だけ愛してよ…お願い。
2006 2 無伊
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■残念■
『生まれ変わってもまた出会いたい』
夢のような言葉は貴方に届くことはなくて。
風化した気持ちなんて無に等しく空は涙を跳ね返した。
もう包んでくれるものは何もない。
泣き模様の雨を受けて私は溶けてゆく。
『永遠なんて所詮まやかし』
それでも信じていたかった。
この自分があるうちは。
最期は愛する人に目を伏せてほしかったけど。
我儘はいつまでも尽きません。
笑顔で別れきれなかった私を許してください。
暗雲と新生への扉が形付く今。
何も入らなくなった瞳には貴方が焼き付いています。
2006 2 無伊
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■暗黙思想家■
嘘や偽りなどどうでも善い事。
貴方の足が向かう方へ行けば善いでしょう?
私は傍観者に成り済ますのみ。
嗚呼なんと美しい偽造愛。
もう放っといてください。
其のような物は潰れてしまえば善いのです。
一欠片の本音を零して御覧なさい。
罅の入って往く様を。
土台は面白い程脆いのです。
私を沈める事は簡単で笑ってしまう位。
どうぞ埋めてくださいな。
2006 3 無伊
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■濁り■
どうでもいい。
嘘とか本当とか。
好きとか嫌いとか。
生きるとか死ぬとか。
留まるとか離れるとか。
どうでもいい。
なるようにしかならないんだから。
私が何かしたところで何も変わらないんだから。
所詮そんなものよ。
人間なんて。
だからどうでもいい。
支えてもらえるものが無くなったんだから一人で立ってやるよ。
期待した私が馬鹿だったよ。
2006 3 無伊
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■感謝■
貴方と出逢って沢山の涙が頬を伝いました。
沢山の傷が増えました。
沢山の辛さがありました。
ですがそれも全て愛でした。
恋でした。
不器用な愛し方。
とてもぎこちなく不自然な時間が過ぎました。
それでも私が一番人間らしく生きれた時間でした。
夏は手を繋ぎ夜空の花を見ました。
秋は二人寄り添って時間に包まれました。
冬は一つになる事ができました。
そして春は別れを運んできました。
沢山の愛が溢れていました。
好きでした。
生きていました。
ありがとう。
2006 3 無伊
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■傍へ■
どう伝えればいいかな。
言葉で表しきれないくらい。
行動で示せないくらい。
愛しく感じる。
貴方の全て。
少しでも離れているのが辛くて。
今すぐ手を握りたくなる。
きつく抱きしめてほしい。
そしてずっと時が止まればいいと。
こう願うのは贅沢ですか?
少しでも離れているのが辛くて。
貴方の体温が恋しくなる。
優しく口付けてほしい。
そしてずっと2人で居られればいいと。
こう願うのは我儘ですか?
私を貴方で満たしてほしいのです。
永遠にこの愛が続くように。
2006 3 無伊
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■虚無感■
春風に乗って流れる雲が
君の姿に重なった。
フワリと笑った個体がはかなく
とても脆く見えて。
フィルターに焼き付いた影は今も消えず。
ガラス越しのその重みは
確かに君が居た証。
モノクロの思い出じゃなくて
カラーの現実が恋しい。
子供じみた願いは
届く事はないけれど。
もう一度逢うことができるならば
全てを置いていく事だって厭わないのに。
だって今でも覚えている。
髪から香る花の色。
中指に光る銀の指輪。
身につけていた服。
忘れる事なんてできないのに。
今はもう風に吹かれ
満たされなくて虚しくて。
雲は何処かへ流れた。
2006 3 無伊
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■焦燥■
目を開き見えた景色は静止の空間。
鼓膜に響く5線譜は私の体を突き抜ける。
動く事をやめた頭に映るのは届く事ない半透明。
信じる事ができないから。
実態が掴めないままの愛しい背中。
離れるばかりで。
手を伸ばした。
あとどのくらい泣き続ければ強くなれる?
嫉妬なんて不様なだけなのに。
最初に口を吐いたのは私だったから。
決別の炎で醜いこの身を葬って。
いくら嘘の鎧で壁を作っても。
影の暗闇に涙は絶えず。
浮き漂っていた私を抱き留めていてほしかっただけなのに。
これが高望みだったの?
2006 3 無伊
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